2015年11月2日月曜日

古代史の謎は「鉄」で解ける / 長野 正孝



氏の前著古代史の謎は「海路」で解ける (PHP新書)が面白かったのと、古代日本での製鉄事情が知りたくて買ってみましたが、期待外れでした。
製鉄については特に書かれていなくて、たたら製鉄は6世紀頃から始まり、それ以前は全ての鉄は半島から輸入していた、というお説なので、私の期待した情報は皆無。
基本的に、記紀の記述は信頼に値しない、技術や文化は全て大陸、半島からの移民によるもの、というお説で、そのせいで色々とお説に矛盾が生じているのですが...。
大量の移民、難民が日本列島に来た、ということなのですが、その反面、倭国から半島に6万人の軍勢を送ったという記紀の記述は、そんな輸送能力が当時あったはずがないからと言われています。
日本の成立過程に大きな影響を与えるなら、移民や難民は一度に数万人規模で来ないと、前からいる倭人を駆逐して住み着くことはできないと思うんですが、その辺りについては、あいまいな書き方しかされていません。
古墳は墓ではなく、交易所だったという説は、成る程と思わせられなくもないのですが、それならば古墳の上部にその施設の跡がないとおかしいし、古墳を調査するのを宮内庁が禁止しているにしても、古墳の周りに交易所に付帯する水路、道路などの跡もあるはずですがその辺りについても言及されていません。
ちょっと無理がある説が多いように思います。

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