2017年2月28日火曜日

乱丸 (天・地・人) / 宮本 昌孝







織田信長の小姓として有名な森蘭丸(乱丸)の生涯を描いた大作です。
新書では上下2巻だったようですが、文庫化に当たり「天」「地」「人」の3巻とされています。
何となく見覚えのあるタイトルになりますが、第一巻である「天」の巻末には、故火坂雅史氏との対談が掲載されており、宮本氏は火坂氏と仲がよく、一緒に呑みに行くことが多かったそうで。
このタイトルは、火坂氏への追悼の意味も込められている気がします。

3巻目「人」の解説によれば、森蘭丸を主人公にした小説は多いそうなのですが、私はこれが初めてです。
時代小説になら多いのかも知れませんが、史実に基づいた歴史小説では少ないんじゃないかと。
とはいえ、宮本氏の小説は史実に登場しない人物が出て来て重要な役割を果たしたりしているので、時代小説ですね。
織田信長旗下の優良武将として、乱丸の兄の森勝蔵長可も割と有名ですが、その父親も信長が父親同然に慕うということが書かれています。
これはたぶん史実なんでしょうね。初めて聞きましたが、乱丸と弟達が小姓として取り立てられたのも、その縁ということですね。

小姓として可愛がられたから、信長とは肉体関係による深い仲だったのだろうという説がほとんどですが、宮本氏はその説は取っていません。
純粋に乱丸が主君の意を汲み察する能力に長けていたからという説を取られています。
確かに信長の性格を考えると、肉体関係で寵愛していたからという理由で、側に置くとは考えにくく、宮本説の方が納得が行きます。

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