2018年2月22日木曜日
縄文の思想 / 瀬川 拓郎
日本人のDNAを調査した結果を述べた書籍を何冊か読んでいますが、縄文人と現代日本人の関係やアイヌ人との関係についての考察が、著者によって異なるのですよね。
DNA解析データを見ていても、どうにも納得できない部分があったのですが、本書を読んでこういうことか?というのがありました。
現代アイヌ人は、縄文人直系のアイヌ人(以下旧アイヌ人)と、オホーツクからやって来たオホーツク人との混血らしいです。
現代アイヌ人のDNAは、縄文人や沖縄民族に非常に近い部分とかなりかけ離れた部分があるのですが、この混血が確かなら納得のいく話です。
捕鯨で世界的に有名になった太地町では、昔から鯨が捕れるとその肉を町の人に平等に配る風習があるのですが、そういう風習を持った漁港町は日本全国に結構あるようで、どうもそれは縄文時代の風習がずっと伝わって残っているからのようです。
縄文時代の日本は、理想的な共産主義社会で、リーダーがいても富を独占することはなく、捕った獲物は赤子から年寄りまで平等に分けていたんだそうな。
実際、古代から日本には(ソ連や中共のような、共産主義の名を騙る独裁主義ではなく、正に本来の意味での)共産主義的なところがあり、つい最近までの日本企業の終身雇用制とか給与体系、職制は平等主義であり共産主義的で、「資本主義の皮を被った社会主義」なのですよね。
平等主義は外敵がいない所では、長期的に平和で安定な社会を形成できます(事実縄文時代は戦争のない社会が1万年以上続いていました)が、海を越えて独占主義、独裁主義が入ってくると崩れてしまいました。
まあ縄文時代は温暖期で、自然の恵みが豊かだったが、弥生後期になると地球の寒冷化で作物が採れなくなったということもあるんでしょうけど。
また、本書では縄文時代の人びとが、海を渡って非常に広範囲な活動・交易を行っていたことが示されています。
縄文人がどのような船を使っていたのかは、殆ど判っていません(土器や壁画の線画程度しか残っておらず、恐らくは木製の船は跡形もなく朽ちて痕跡がないのです)が、日本列島だけではなく半島や大陸にも進出していたことは、遺跡から判っています。
その割には、半島や大陸から縄文土器が見つからないのは不思議ですけどね。
本書を読んで、我々の内にある縄文を思い起こすことが、今の日本人には必要ではないかと思います。
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