氏は元々お医者さんで、医療現場を舞台にした小説で作家デビューをされた方ですが、最近では歴史小説も手掛けられておられます。
日蓮上人と蒙古襲来を題材にしていますが、日蓮上人が主人公ではなく、上人に仕える名もなき男が主人公になっており、その視点から日蓮上人の人柄と蒙古襲来の様子を見事に描いておられます。
上下2巻の長編ですが、スピーディーに読んでしまいました。
それだけ物語に入り込んでしまったわけです。
蒙古の船団が、対馬〜壱岐〜志賀島や唐津辺りに上陸する様が描かれていますが、海流の関係で朝鮮半島から日本へ来る、或いはその逆は、航海できる季節が限られており、風の具合を上手く読まないと辿り着くことができないことが説明されています。
神風が吹いて日本が勝てたというのは、あながち間違いでもないけど、それが正解でもないのですよね。
またこの海流と風の関係をちゃんと把握できていないと、古代においての半島と列島の関係も読み間違います。
邪馬台国論争などにおいても、この半島から北九州への航海についての知識がないままで、論じている人が多いのですが、強力なエンジンを搭載した鋼鉄船しか乗ったことがない人には、玄界灘の海流がどれほど恐ろしいものなのか、想像ができないんでしょうね。
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