歴史研究というのは、所謂文系と呼ばれる科学的な素養の乏しい方が多いせいか、きちんと科学的な考証に基づいた歴史上の事象に対する解釈をされる方が乏しいように思います。
なので、時々歴史研究とは門外漢と呼ばれる方達が、科学的な根拠に基づいて歴史学の定説というのを非難することがあります。
本書はその一つですね。
蒙古襲来に関しては「神風」というのが、都の公家による虚構であるというのが最新の定説になるつつあるのですが、では何故蒙古は撤退したのか?については説明ができていません。
氏は船舶設計の専門家であることから、当時の船艦がどのようなものであったかを厳密な資料に基づいて再現(3D CADで詳細な設計を)して、その性能を計算されています。
また玄界灘の季節毎の渡海の危険度なども調べ、蒙古軍の動きを推定されています。
こういう考証は、歴史研究者を名乗る人達には、到底不可能で、船舶の専門家だからできることでしょうね。
秀吉の中国からの大返し、戦艦大和についても、綿密な計算に基づいた推定をされており、恐らく今後の歴史研究にはこういう科学的な推測や推定ことが必要であるということになるのではないでしょうか。
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