2001年5月14日月曜日

【ZEISSコラム】CONTAXレンズAEとMMの違い

AEとMMと何が違うかというと、プログラムAEとシャッター速度優先AEが使えるか使えないかの違いです。ということを皆さんは知りたいわけではないですね (^_^;;;;
アサカメの「ニューフェース診断室」で、'76年、'85年、'94年の3回に渡って、Planar T* 1.4/50の特性が測定されています。 '76年はAE、'85年と'94年はMMです。この3回とも、最近発売されたアサカメの別冊「コンタックスの軌跡」に再録されていますので、興味のある方はそちらで詳細を確認して見て下さい。
で、測定結果を見ると、球面収差と非点収差が'76年と'85年は同じなんですが、'94年だけ異なっているんです。この違いについて、設計変更があったためか?という憶測が飛んでいます。レンズは個体差というものがありますし、ガラスも同じ材料といってもロットによって微妙に屈折率が違います。だからたまたま違っていただけという可能性もあり得ます。しかし個体差やロット差、あるいは測定誤差としては、違いが大きいとも言えなくはありません。いずれにせよ、Zeissや京セラの公式発表がない以上、ユーザーとしては勝手な憶測をするしかないのでしょうが....。
設計変更があったとして、AEからMMに変更になる時に変わったのではなく、MMの途中で変わっていることになります。ですから、光学系に違いがあるとしても、AEかMMかの区別では判らないということで、ある意味AEとMMでは違いがないということになります。

同じような設計変更は、Planar T* 1.4/85にあるのではないかと言われています。あくまで憶測が噂として流れているだけで、私は確認してないのですけどね。アサカメの診断室には、AEG時代に1度登場しているだけなので、測定データによる考察はできないです。

その他に、前出のアサカメ別冊には掲載されていないのですが、Sonnar T* 2.8/85のAEGとAEJが測定されています。両方とも測定されたのは解像力だけだったのですけど、この2つの解像力は測定誤差範囲内でドンピシャ一致しており、光学系はドイツ製も日本製も全く違いがないようです。

ということで、光学系はドイツ製、日本製、AE、MMなどによる違いはないだろうと言えるでしょう。差となると、前回書きました新しい物と古い物で、分光透過率が違っていることと内面反射処理が違ってることですね。
で、写真工業のテスターがAEGの方を「好きだ」と言ったことについてなのですが、この時の作例は女性ポートレートだったんです。 AEの場合、内面反射の影響で、MMに比べて僅かにフレア掛った描写になります。女性の肌を描写するときは、このフレアが入ってる方が綺麗に見えるんですね。うまく肌の荒れを隠して滑らかな肌に見せてくれます。
MMだとフレアを意識的に入れれば同じような効果が出るんですが、普通に撮影してるとそういうことはしませんから、肌がはっきり写り過ぎて (-_-;; となることがあるんですね。実際、ポートレート専門の私は、Planar T* 1.7/50はMMJを処分して、AEJを手元に残してしまいました。作例が物撮りとか風景などだと、忠実な描写の方が好まれますから、MMJの方がいいでしょうけどね。

季刊クラシックカメラの別冊で「使うコンタックスレンズ」というのが出ています。この中でPlanar T* 1.4/85のところで、開放からピントの切れが「鋭いタイプ」と「鋭くないタイプ」の2つが存在するという記述があります。私が知る限りでは、Planar T* 2/135でもこの2つのタイプがあるようです。これドイツ製が「鋭いタイプ」で、日本製が「鋭くないタイプ」かといえばそうではなくて、完全に個体差の問題らしいです。開放が甘いが絞ると飛躍的にシャープになるというのは、偏芯していて光軸合わせが充分じゃないレンズに起こる現象です。
もちろん、Zeissは組立て中に最低3回の光軸合わせをするそうですし、全数MTF検査を実施していますから、あくまでも規格範囲内での差なのです。が、Planar系の大口径レンズでは、この光軸ズレに対する描写への影響が大きいようです。ですから、Planarでも1.4/50, 1.4/85, 2/135は影響が大きくバラツキも大きくなり、対して1.7/50, 2/100はそれに比べてバラツキは少ないようです。若干のスペックの差が、こういうところに効いてくるようです。
#大口径となると、f1.2の記念レンズはどうなんだ?ということになると思いますが、流石にこちらは量産物とは組立て精度が違うようで、バラツキは極限まで押さえられているようです。
またDistagon, Sonnar系は、個体差が少ないようで、聞いたことはありません。 D1.4/35で、若干あるかな?というくらいでしょうか? D2/28でもありそうな気がしますが、これを持っている人が回りにはあまりいないので、確認はしていません。まあいずれにしても、P1.4/85, P2/135に比べるとないに等しいと思いますが。
でも面白いのが、組立て精度の悪いと思われる「鋭くないタイプ」を、テスター氏は「好きだ」と言ってることですね。レンズの性能としては、当然「鋭いタイプ」の方が上なんですが....まあこれも、写真工業の例と同じでしょうね。私は「鋭い方タイプ」が好きですが。
で、こういう話をすると「見分けるのはどうするんだ?」という質問が来そうですけど、内緒です(嘘)。いや、開放から一段づつ絞って行って、撮影して見れば判りますけどね。店頭で調べるのは、ピントを合わせてみれば...まあ判る人には判ります。

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