2001年7月1日日曜日

【ZEISSコラム】フィルムの解像力とレンズの解像力

昔からレンズの性能評価というと「解像力」が問題にされます。朝日カメラの診断室では、この解像力が細かく測定され、これを評価基準の中心としているので、世間一般では未だに解像力でレンズの善し悪しを評価する人が多いようです。それに対してZEISSの開発者は「レンズの性能と解像力は関係ない。写真はコントラスとで決まる」と言い切ります。これはどういうことなのでしょうか?
まず一番に考えなければならないのが、人間の目の解像力でしょうね。プリントや印刷の解像力或いは解像度は、大体10本/mmです。人間の肉眼は大体それくらいが限界だそうで、それ以上を判別するためにはルーペの助けが必要になります。ですから、プリントに引き伸ばした状態で10本/mmに相当する領域の再現性が高ければ、つまりコントラスとが高ければ、そのプリントはシャープに見えます。
プリントをどのくらいまで伸ばすかにもよるんですが、2Lだと35mmから(長さ比)約5倍の倍率なので、フィルム上で50本/mmのところで充分に高いコントラストがあればいいことになります。
これはプリントにかなり目を近づけて鑑賞した場合で、通常のプリント全体を視野に入れる距離で鑑賞した場合は、プリントの対角線長の1/1000が、人間の目で解像できる限界と言われています。
��ちょっと疑問のある数値なのですけど、人間の網膜にある視神経の数からそうなるんだそうですが....私の感覚からすると、脳で解像度処理されてセンサーの数以上の解像が可能になっているのではないかという気がするんですが....。
まあ対角1/1000限界説に従うと、35mmフィルムの場合、約22本/mmで充分に高いコントラストがあれば、伸ばし倍率に関わらずシャープな写真が得られることになります。まあ人間の目の解像力がもっと高いにしても、これの倍以上くらいではないかと思いますので、40本/mmで充分にコントラスとが高ければいいのではないかと思います。
朝日カメラのテストレポートを見れば判りますが、現代のレンズの解像力は100本/mmを遥に超える性能を持っており、上記の値を軽くクリアしています。
次にフィルムの解像力を見てみましょう。またフジやコダックのサイトにフィルムのデータがありますが、それを見ると一番コントラストの高いものでも、40本/mmでコントラストが30%以下になってしまいます。つまりレンズの方がいくら高い解像力を出しても、通常のフィルムではそれを活かせません。
��朝日カメラの解像力テストは、特注の超高解像力フィルムを使用しています。
要するに、レンズは40本/mm以下で充分に高いコントラスト再現性があれば、それ以上の高解像力はいくらあっても写真撮影には関係ないのです。また逆に通常のフィルムで撮影した写真で、レンズの解像力は絶対に判りません。フィルムの限界解像力領域での、レンズのコントラスト再現性を比べているだけだからです。


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