2002年3月3日日曜日

プロのこだわり

風景写真で有名な三輪薫氏の作品展が、昨年末より全国を巡回して行われております。大阪が最後で、梅田キヤノン・サロンで3月6日まで開催されています。金土と三輪氏が会場に出ておられ、色々とお話を戴いて来ました。
色々と為になるお話を頂いたのですが、そこで感じるのは「プロとしての作品への強いこだわり」です。自分のイメージを再現するために、最大限の努力(と時間やお金も)つぎ込む姿勢です。
講習撮影会に参加すれば判りますが、氏が探し出す撮影対象は、普通の人だと見向きもしないようななにげないものが多いです。つい通り過ぎてしまうようなところから、被写体を見つけだすこだわりの凄さは、素晴らしい以外に言葉がありません。ファインダーを覗かせて戴くと、何故そこへレンズを向けているのか、すぐ理解できるのですが。

フィルムの選択へのこだわりも凄いです。三輪氏が様々なフィルムを使い分けていることは、割と有名だと思いますが、今回の作品展でのフィルムの使用状況を見ると、全26点で、

フィルム           使用点数
E100VS              7
Dyna HC 100(EBX)         7
Velvia (RVP)           2
Astia (RAP)            1
MS100/1000 (RMS)         1
Dyna EX (EB)           1
Kodachrome64 (KR)         1
E100S               1
E100SW              1
Ektachrome 100PlusPro (EPP)    1
Panther 100Pro (PRP)       1

と11種類にも及びます。
これだけのフィルムを、それぞれの特徴に応じて使い分けるこだわりは、なかなか他には見られないと思います。

また機材へのこだわりも凄く、カメラ、レンズ、三脚等々の撮影機材のお話も、いつも参考にさせて戴いています。機材の数もかなりお持ちのようで、CONTAXだけで35本お持ちだそうです。プロでCONTAXレンズを実際にこれだけ持っているプロはいない、と言われていました。

また今回の作品展への出品では、額にこだわったそうです。手作りの特注額で「請求書を見て泣いた」とか「他のプロが写真のことはないも言わないで、額だけ誉めて帰る(苦笑)」とおっしゃっておりました。以前の時には、「虫ピン止めにしたけど、その虫ピンを探すのに東京中の画材屋を回った」ということで、「額も含めて作品」ということに非常にこだわっておられるそうです。
プリントも撮影はポジですが、インターネガを起こしてネガプリントされています。プリントも長年のつきあいのラボマンの方に、何回も何回も焼き直しをして貰ってそうです。

これらのこだわりが、三輪薫氏独特の世界を創り出しているわけです。写真をうまくなりたいと思う人は多いですが、このようなこだわりまで真似できる人が、一体どのくらいいるでしょうか?私もアマとしてはかなり凝り性だと自認しているのですが、三輪氏のこだわりに比べると10分の1にも満たないなぁと思います。皆さんはいかがでしょうか?

追記
私は初代のDynaから試しているのですが、プロタイプのE100Sに比べてダイレクトプリント時に色が濁るというかザラ付くので、その点をお聞きしたところ、あっさりと「そりゃあれだけ粒状性が違うんじゃ仕方ないよ」とのこと。 KODAK発表のデータで、同じ乳剤だと思い込み、粒状性の違いを疑いもしなかった自分のバカさ加減に呆れました(苦笑)。


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