ハヤカワ文庫FT刊 クリストファー・プリースト著 古沢 嘉通 訳
先日の「奇術師」より10年ほど前に書かれた作品で、プリーストがSF作家から怪奇小説作家に転身(?)する転機となった作品のようです。
奇術師と違い、SF色はほとんどありません。催眠術とか深層心理の解説でちょっとだけそれっぽい匂いはありますが、普通の小説でも出てくる範囲でしょうね。ただ通常の怪奇小説だと、理論的な裏付け説明というのはあまりないのですが、本作では不可思議な現象に対する理論的な理由付けを(一応)しています。
でもかなり不可思議な物語ですね。読む側まで、何が真実で何が(催眠効果で引き起こされた)幻覚なのかの区別ができなくなってしまいます。
それこそ、プリーストの罠にはまった証拠なのでしょうが。
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