2005年8月26日金曜日

信長を撃いた男

新潮文庫刊 南原 幹雄 著
信長を暗殺せんと鉄砲による狙撃をしたものの、打ち損じ、3年後に捕まって斬殺刑にされた忍者の物語です。
史実に基づく話ではありますが、記録として残っているのは、狙撃したときとその3年後に捕まって死刑になったことだけですので、物語のほとんどは作者の作り事です。しかし、僅かな事実から、いかにも本当のような話を考え出して、読者を本気にさせることこそ、小説家の真骨頂であり、氏はその名人ですね。

ストーリーとは直接関係ないのですが、狙撃をしたのが甲賀忍者だったため、甲賀の話が頻繁に出てきます。織田信長旗下の武将の一人として有名な滝川一益は、その甲賀の有力豪族でした。
先日の芭蕉ではありませんが、滝川一益といえば城の縄張り(築城)の名人としても有名ですから、忍者と建築技術というのが、密接に結びついていたことが判ります。


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