2006年4月2日日曜日

国銅 (上・下)

新潮社文庫刊 帚木 蓬生 著



国銅〈下〉

帚木氏の(文庫版での)最新作になります。
タイトルと表紙から、奈良時代の大仏建造の物語だろうなということは想像が付いていたのですが、銅採掘と精錬のところから始まったのは、ちょっと意表を突かれました。
主人公は一介の平民なのも、読む前に想像していたのと違っていて、読みながらこの後どういう展開になっていくんだ?と作者にずっと裏をかかれ続けながらの連続でした。
この2冊も、アフリカの蹄同様にあっという間に読んでしまいました。


銅採掘・精錬や大仏建立の人足は、苦役と呼ばれる課税(租庸調の調)で集められていることになっているのですが、その苦役が何年も続いています。
その間、律令制度で配布された田は誰が耕作していたのでしょうか?
田が支給されていないのなら、戸籍には載ってないということなので、苦役が科せられることはないはずです。
そもそもその頃は、律令制度が荘園制度で崩壊していて、平民は男が生まれても戸籍には届けずに荘園で働いたりしていて、女だけを戸籍に届けて班田を貰っていたのですし。
女は課税対象ではないので、朝廷は班田を与えても税が全く入ってこない状況でしたし。

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