ここ何年か、韓国 起亜自動車の発売するクルマは、デザインが非常にいいのが多いなと思っており、それはイタリア辺りのデザインハウスへの委託をメインにしているからかと思ったのですが、元AUDI/VWのデザインディレクターがヘッドハンティングされて、起亜の最高デザイン責任者に就任していたんですね。
そりゃいいデザインのクルマができるわけだ。
そしてその方が起亜の社長に就任すると。
デザインだけではなく、クルマ全般とブランド戦略の責任を担うわけですが、韓国人ではない人を思いきって社長にしてしまうところに、現代グループのトップの人達の危機感とそれに対する戦略眼の凄さを感じさせられます。
日本でも日産の社長にゴーン氏が就任したのは、画期的な出来事だったと思いますが、その後の各日本企業が日産に習って外国人の役員登用を進めたかというとそんなこともなく、逆により閉鎖的な人材戦力になってしまっているように思います。
日本の製造業の強さというのは、今でも健在だとは思いますが、だからといって台湾、韓国、中国や東南アジア各国の製造技術が日本と比べて劣っているかというと、そうとも限らないのが現状です。
昨年のタイの洪水により、日本企業の工場が壊滅状態になり、日本の工場で代替しようとしたけど、長年海外でしか製造していなかったために、日本での製造技術が失われて、タイの技術者が日本の工場で技術指導をするということも起きています。
製造メーカーの役員に、技術出身者よりも財務出身者の方が多くなり、コスト至上主義で、ベテランの技術者をドンドンリストラし、工場を賃金の安い海外へ移し、結果日本には何も残らず、全て海外に移ってしまいつつあります。
実際、台湾、韓国、中国の企業が力を付けてきたのは、リストラされた日本の技術者が挙って海外に行って、日本のノウハウを教えていったのが主な原因になっています。
昔は、職人芸が尊ばれ、技術を持つ職人的技術者は、製造メーカーの宝として尊ばれました。
が、バブル辺りから、技術開発よりも財テクの方が尊ばれるようになり、賃金の高いベテラン職人よりも賃金の安い経験の浅い若いので十分、という風潮になってしまいました。
これだけ技術流出が続いているのに、未だにその風潮は変わりません。
日本の製品が売れないのは何故かと、メーカートップが全く理解できていない証拠です。
日本全体が意識を変えないといけないのですが、日本人は事故が起こってからでないと、対策を考えようとしない習性があるので、日本の製造業トップクラス数社が倒産してからでないと変わらないのでしょうね。
いや、その場合でも、本当の原因をちゃんと理解して正せるのかどうかが問題ですが。
これからの日本の世で、技術立国を本当に目指すのであれば、何よりも技術者を大切にする必要があります。
技術にちゃんとお金を払って報いる必要があります。
でなければ、日本の技術にお金を払ってくれる、国もなくなりますよね。
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