2013年11月1日金曜日

秘史 密教のすべて 空海伝説と禁断の秘術 / 正木晃編



家の宗派は真言宗なこともあって、御大師様こと空海には以前から非常に興味があり、バーゲンブックのコーナーで本書を見つけて買ってみました。
空海についての記載は、期待したほどはなかったのですが、密教の歴史についてはおおよそのところは理解できたと思います。

著者の一人がチベット僧(現在は日本の大学で教鞭を執られているらしい)の方のせいか、空海の師である恵果をあまり評価されていません。
密教には胎蔵密教と金剛密教の2種類があるのですが、元々別々に発生し別々に伝来していたものを、恵果が両方の伝授を受け、それを空海に伝授したので、日本ではその両方を伝わっています。
が、恵果の弟子でチベットからの留学僧は金剛密教しか伝授されなかったため、チベットには胎蔵密教は伝わっていません。
でもこの話は本書に書かれていなく、胎蔵密教は元々マイナーな教えで、メジャーな金剛密教がインドからチベットへ(唐などを経由せず)直接伝わったから、チベットには金剛密教しかないということになっています。

いずれにせよ、一生涯かかっても並大抵のことでは伝授して貰えない奥義を、二つとも伝授された恵果という僧は天才なのは間違いないでしょう。
それを弟子になってたった三ヶ月で、両方の奥義を伝授され会得した空海という人は、天才という言葉では到底足りないくらいの超大天才なわけです。
ただその教えを現代にまで受け付いているはずの高野山が、一時期浄土宗に乗っ取られていた時期があったとのこと。
御大師様入滅の後、衰退するのは理解できるのですが、浄土宗が高野山に広がるのはちょっと理解の外でした。
現在はまた真言宗の修行場に戻っているようですが、空海の持ち帰った法灯が現代まで正しく伝えられているのか、ちょっと心配になってしまいました。

0 件のコメント:

コメントを投稿