2014年6月27日金曜日
生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 / 中沢弘基
生命は海で誕生した、という定説に、なんとなく違和感があったのですが、本書を読んでその違和感の理由が分かりました。
海の中を漂っているアンモニアのような有機物質がアミノ酸になり、タンパク質になり、生命体となっていくというのは、化学的に不可能で、通常は逆にタンパク質はアミノ酸に、アミノ酸はアンモニアに分解していくんですよね。
生命体とは、自然界がエントロピーを増大する方向に進むのに逆らって、エントロピーを減少させる方向に進むものなのです。
一体どうやったらエントロピーを減少させて、二酸化炭素や水から有機物質が生成され、アミノ酸が生成され、タンパク質が生成されていったのか。
その非常に難しい問題を、非常に判りやすく解説してくれています。
それにしても、ここに書かれていることが事実だとしても、地球に生命体が誕生したのは、本当に奇跡中の奇跡としか思えないです。
他の惑星に水が存在したとしても、それだけでは生命はまず誕生しないわけで。
地球上に大量の有機物質が発生したのが、火星と木星の間にある小惑星帯の発生により莫大な量の隕石が地球に落下したことが原因と推測されています。
そのタイミングも、もっと早くても遅くても、恐らくはうまく有機物質ができなかったはずですし。
地球の地殻変動(所謂大陸移動)も生命体が生まれる原因の一つなのですが、太陽系の中でも地殻変動がある惑星は地球くらいなのですよね。
こういう他では起こることが、まず滅多にない事象が積もりに積もって、地球の生命体というのが生まれたわけで。
神様の存在を信じたくなりますが...宇宙に存在する膨大な星の中で、1つくらいはこういう奇跡に恵まれた星があったというのは、確率的には十分あり得ることなのかな。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿