2015年3月7日土曜日

巨大ウィルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト / 竹村政春



最近並かそれ以上の大きさのDNAを持つウィルスは、比較的最近発見されています。
光学顕微鏡で観測可能なので、実際には結構以前から見つけられていたけど、その大きさ故にウィルスとは思われず、バクテリア(細菌)の1種と思われていた可能性があるそうな。
遺伝子のセットとしても、ウィルスにしては細菌や古細菌に近いのですが、増殖するために他の生命体の細胞内に入り込み、そこの増殖機能(DNAシーケンスを読み取ってタンパク質を合成する機能)を使わないと増殖できない、つまり自己増殖機能を持っていないのでウィルスに分類されるということになるそうです。
一応生物学では、ウィルスは非生命体に分類されているのですが、ここまでの機能を持った巨大タンパク質分子の機械なら、生命体と呼んでもいいような気もしますけどね。

いずれにしても、ウィルスといい、巨大ウィルスといい、一体いつどうやって生まれたのかは、未だに不明なんですよね。
機能の単純さからいえば、ウィルスから巨大ウィルスになり、細菌や古細菌になったという考え方もできるのですが、ウィルスや巨大ウィルスは自己増殖能力がないので、細菌や古細菌より先に発生することはできないんですよね。
なので、細菌や古細菌が他の仲間に寄生することを覚えて、不要なDNAをそぎ落としていった結果、ウィルスになったという考え方もできます。
問題は、他者に増殖を依存してまでして、DNAをそぎ落とすことによる利益は何なのか?が判らないことだそうで。
ウィルスとして生き延びることに、何の利益があるのかってことですね。

また、ウィルスや巨大ウィルスのDNAは、細菌や古細菌などとは共通性がかなり低く、共通な遺伝子は寄生することで得られた(宿主から盗み取った)DNAと考えられる程度だそうです。
なので、ウィルスが先にしろ後にしろ、細菌や古細菌と共通の祖先を持つ可能性も低いらしい。
余計に正体不明ですな。

それとは別に、ヒトなどの真核生物は、DNA的には細菌よりも古細菌に近いそうです。
まあ細胞の核は、元々古細菌の1種だったらしいですから、細菌よりも近いといわれると納得できなくもないけど。

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