2015年4月12日日曜日

吉良忠臣蔵 / 森村誠一





森村氏の作品は、何十年か前に野性の証明 (角川文庫)だけで、他は読んでないのです。
(ちなみに映画化された「野生の証明」は観てないんですな、何故か)
今回読んで思ったのが、文章の読みやすさ、ストーリーへの入り込みやすさ、テーマの面白さなどなどが、非常に素晴らしく、小説家としての技量はかなりの人だなと感じました。

忠臣蔵というと、浅野家遺臣の視点から書かれたものばかりなのですが、本作はタイトル通り吉良家の視点から書かれています。
当時の幕府のやり方というと、どう考えても浅野維新に吉良家を討たせるためにことを進めたとしか思えないことばかりなのですが、森村氏もそう考えたようで、赤穂浅野家と吉良家の背後に控える浅野本家と上杉家を引きずり出して、取り潰しの口実を作ることだったと推測され、そのように話を組み立てられています。
その説の正否はともかく、いかにもありそうな仕立てにすることは成功していて、読んでいて信じそうにはなりました。

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