火坂氏は西行についての作品で作家デビューをされており、故に西行については格別の思い入れがあったようです。
本書は、西行についての火坂氏の考えをまとめたコラム集になっており、西行を主人公にした歴史小説を書くための取材ノートだったのではないかと思われています。
残念ながら、その小説が世に出ることは叶わなかったのですが、本作を読むとやはり氏の西行に対する特別な思いが伝わってきますね。
氏の初期作品には、菊池秀行氏の影響が感じられたのですが、本書の後書きを読んで、元担当編集だったというのを初めて知りました。
私は、筒井康隆氏の言葉「作家で評価しない。作品で評価する。」というのに共感をしていて、そのために作家のプロフィールについては意図的に知らないようにしているのですが、火坂氏の作品に菊池氏の影響が出るのも宜なるかなと深く納得してしまいました。
#とはいえ、はっきりと影響が感じられるのは初期作品だけで、中期以降は独特の作風を生み出されています。
西行の詩の中に、古流の組み討ち術の技に通じるものがあることに火坂氏が気が付かれたのは、菊池氏の連載の編集者として日本中の格闘家や古武術の達人に会って話を聞いていたからですね。
普通の作家や古典の研究家では、絶対にこういうことは気付けないでしょうね。
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