2016年7月17日日曜日
神話で読みとく古代日本: 古事記・日本書紀・風土記 / 松本 直樹
古事記と日本書紀の形式や文字や用語の使い方などなど、細かい箇所の解析と全体の構成の解析とをバランスよく行われていて、色々と興味深いことが書かれています。
古事記も日本書紀も原文を読んだことがないので、なんとなく分かった気になっていても、実は肝心のことが分かっていなかったということがよく分かりました。
私のような原文を読まずに、現代語の解説書だけしか読んでいない人は、全体の話の流れが一貫して矛盾のないと、研究者の人達に思い込まされていましたが、実際はそうではないんですね。
今まで読んだ要約本や解説書では、伊弉諾尊はいつの間にか登場しなくなるだけで、何故登場しなくなったかについては書かれていなかったのですが、素戔嗚尊が天照大神に別れを告げに高天原に向かうときに「幽宮を淡路の洲に構りて、寂然に長く隠れましき」とあるんですね。
この箇所の記述があまりにもサラッとだけ書かれていて、ここで伊弉諾尊の出演はもう終わりですよ、というのには気が付いていない人が多いのか、「隠れましき」が実は話の流れからしては不自然なタイミングであることに気が付いていないのか。
サラッと読まされて不自然さに気が付かないように構成されたことも、ほとんどの研究者は気が付いていないのかも知れません。
古事記にしても、日本書紀にしても、当時の編集者の人達はかなり色々なことを考えて、意識的に読む人をミスリードするような書き方をして、真意を巧妙に隠している。
単純に言ってしまえば、当時の天才達に、現代の秀才達はみんな欺されているということですね。
というわけで、本書は歴史好きなら必読の一書と思います。
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