2016年8月7日日曜日

はなとゆめ / 冲方丁



清少納言が自身の半生を独白する形式で書かれた小説です。
冲方氏がこういうものを題材に選ぶというのは意外でしたが、紫式部に比べると影の薄い清少納言を選んだという点ではらしいと言えるでしょうけど。
源氏物語が世界最古の小説であると同時に、枕草子は恐らく世界最古のコラム集とも言える存在で、どちらも女性の手による文化的な文筆作品という点では、圧倒的に古くて恐らくこの点でも世界最古です。
当時の宮廷政治に女官達が重要な役割を果たしていることが描かれていますが、女性が政治に関わるというのは、他の国では近代に入るまで例がないんじゃないかと思います。
平安文化というものが、どれ程優れており先進的なものだったかを、今の日本の歴史の授業では全くといっていい程無視しており、共産党かぶれの日教組により貴族による人民の弾圧と搾取という大陸での常識をそのまま日本に当てはめて否定する無知振りです。
本書は当時の詩(ウタ)というものが、(中高生が古典で教わるような表面的な薄っぺらな解釈では到底理解できない程に)どれ程に奥深いものであるかを教えてくれます。
そして宮廷の権力争いというものが、どれくらいに卑劣で見にくいものであるかも。

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