2018年1月3日水曜日
古代の朱 / 松田 壽男
朱というのは硫化水銀で、一般には印鑑を押すときに使う朱肉として知られていますね。
(もっとも、現代では水銀の使用が一般には禁止され、朱肉も退色性の低い模造品になっていますが)
日本では縄文時代の漆塗りにも、天然の硫化水銀である朱砂による赤塗装が、防水性を必要とする箇所の木材に施されており、非常に古くから利用されています。
にもかかわらず、本書の冒頭で書かれているように、朱砂について書かれた書籍や歴史書は殆ど見たことがありません。
日本中に、この朱砂の産地を意味する「丹生」という地名や、これが元になったと思われる地名も数多くあるのですが、平安後期辺りで日本の朱砂は取り尽くされたのか、古代日本では朱砂が大量に取れたことが忘れ去られてしまったようです。
(実際、漆塗りに使われた硫化水銀は全て大陸からの輸入品で、日本では一切産出しないという説も、嘗てはあったようです)
また金鉱山から品位の高い(要するに銀や銅を含まない純金)を得るには、水銀を使った水銀アマルガム法が一番で、古代日本での金精製もこの手法で行われていたらしいのですが、ちゃんとした文献資料が残っていない(古代では水銀を使った金精製というのは当たり前すぎて誰も資料として書き残さなかったのか、実際に金精製を行っていた職人集団は身分が低くて文字の読み書きができなくて書き残せなかった)ので、現代の歴史家はガン無視ですが。
土地の名前が本来の意味が忘れられて変化していく様や、神社の神様が変質させられていく様を解明されていることに関しては、ひたすら成る程と感心させられました。
日本の伝統が、如何にいい加減なものかってことなんでしょうけど。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿