2018年5月2日水曜日
【くるまのおと】日本の経営者はブランドの価値を理解していない
日産が米国で販売を始めた当初は、Datsun(日本では「ダットサン」と呼ばれてますが、米国のドラマとか観ていると「ダッツン」と発音されてます。本書では「ダットサン」で統一されていますが)ブランドを綺麗さっぱり捨てて、一気にNISSANで統一するというのをやり始めたときは、まだ社会人成り立ての私でも「せっかく長年かけて構築したブランドイメージをまた一からやり直すって本気かよ?」と不思議に思いました。
本書に書かれている裏事情によれば、当時の社長がブランドの価値というのをさっぱり判っていなかったみたいで、社内の権力争い(というか社長が有能な部下に嫉妬しただけ)で、「あいつを思い起こさせるようなものは全部消し去ってやる」という感じだったらしいです。
日本においても世界においても、クルマで「Z」といえば、日産フェアレディZ(米国ではDatsun Z - 昔観た米国ドラマでは「ダッズィー」と呼ばれていました。たぶん「ダッツンズィー」が省略されたんだと思いますが)なのですが、ゴーン氏が日産に来るまでは、継子扱いだったんですよね。
それもこれも、日産の社長さん達が米国販売競争で敗れて、販売数で圧倒的な成績を上げていた担当者が、中心になって開発販売されたクルマだからというだけの理由で。
日本で日産といえば、Skylineが一番に来るでしょうけど、Skylineは元々プリンスの車種なので、日産首脳陣としては日産の看板にしたくないし、そもそも国内専用車種だから海外のブランドイメージリーダーにはならない(けど、現在R32/R33/R34 GT-Rは、海外で非常な高値で取引されていて、日本から程度のいい中古車が出ると速攻で海外に転売されているそうですが)、しかしZは日産というよりもMr.Kというイメージだから、これも日産のブランドイメージにはできない。
そういうジレンマがあって、世界的なブランドイメージリーダーにおくべきクルマがないまま、Datsunを捨ててNISSANへとブランドを変更しようというのは、暴挙としかいいようがないのですが、ブランドの価値というのを当時の日本の経営者は(日産首脳陣だけでなく一般的にも)理解している人は殆どいなかったんですよね。
ゴーン氏はブラジル生まれで欧州育ちなので、ブランドの価値というのをしっかりと理解できているから、Zを復活させ、GT-Rを国内専用車種からWorld Modelに変更したわけです。
人の使い方にしても、ゴーン氏の人材登用とか権限の持たせとか、やはり欧州育ちは違うなというものがあって、日本の経営者のように権限と責任の所在を曖昧にし、逃げを最初から用意しているのとは根本から異なります。
責任のたらい回ししかしないから、最近の不祥事のようなことが出て来るんですが、村社会で善きも悪しきも周りの人と一緒に行わない奴は村八分で阻害されるのが、日本人の習性なので、トップが欧米人から日本人に戻ったら、また元の日産に戻ってしまう気がします。
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