2018年5月26日土曜日

デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す / 前田育男



前田氏がマツダのデザイン本部長に就任されてから、マツダのカーデザインは変わりました。
が、前田氏がデザインしたのはクルマの見た目だけではなく、マツダというカーメーカーのブランドと社内組織もデザインし直して再構築しているのだそうです。
どこの企業でも、企画、開発設計、製造、販売の各部署間は、セクショナリズムで相互の交流は少なく、お互いを敵のように思っていることが通常です。
マツダも以前はそういう感じだったそうですが、今では工場でデザインを再現するために疑問が出ると、些細なことでもデザイン部に電話を掛け質問し、受けたデザイナーはすぐに工場に駆けてきて相談にのるようになっているのだそうです。
デザイン、設計、製造が、正に一体になってクルマの開発に関わり、少しでもいいものをユーザーに届けるために切磋琢磨するというのが常態化するようになったそうです。

ブランドに関する考え方も変わっており、前田氏が進言してブランドを管理する部署を立ち上げ、統一されたイメージを保つようにしたと。
匠レベルの腕を持っていても、管理者にならなければ只の平社員だったのを、キチンと技量評価して職人として腕を上げれば地位と給与が上がるようにもしたそうです。
GT-R開発に当たって、設計だけではなく製造や部品メーカー、営業サービスなども引き込んで、一体になるように人の繋がりを作ったという例はありますが、マツダはそれを会社全体で行っているという感じでしょうか。

私も色々な現場で、製品開発の一端を担当してきましたが、どこへ行ってもセクショナリズムの壁というがあって、それを超えることは一切許されないというのが当たり前です。
そのため、担当同士でちょっと話をすれば決まることが、あちらこちらに会議のお願いをして予定を調整して、会議してもお互いに本音を言えず…まとまらないことが普通。
まとまったとしても、数ヶ月経ってやっとという感じ。
このドッグイヤーといわれる時間の流れの中で、そんな悠長なことをしていたら…日本が中国や韓国の企業に負けるのも当たり前です

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