2020年8月27日木曜日

定説破りの日本古代史 “日本人"誕生の真実と証拠 / 山本 隆司



作者は弁護士の方だそうで、歴史の専門家ではありません。
逆に専門家ではない故に、(作者のいうところの)「渡来ドグマ」には冒されておらず、論理的に真実を見ることができるとのこと。
実際、本書に書かれていることは、最新の科学的なデータに基づいて論理的に議論を進められており、納得の行くものが多いです。

とはいえ、邪馬台国が大和地方であると主張される時に、方位や距離の問題はすっ飛ばして、発掘された遺跡のみで推理するのはいかがなものかと。
奈良県の大和地方が邪馬台国で、後のヤマト政権はその後継であるとするヤマト説の方々が、無視している問題に鯨文問題があります。
邪馬台国では、身分が上のものから下のものまで男子はすべて顔に入れ墨を入れている、と魏志倭人伝には明確に書かれています。
なので、ヤマト政権でもその習慣が残っていなければおかしいのですが、実際には大和地方には一切残っていません。
なので、まずこの問題を片付けないと大和地方に邪馬台国があったという主張は、空論になってしまうのです。

とはいえ、私が気になったのはこの問題についてくらいで、他は概ね賛同できることなので、他の歴史解説に比べると、極めてしっかりとした考証をされていると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿