本書の原著第一版は1964年、増補第二版が1979年、第三版が1990年に発刊されており、本書は第三版の翻訳本を文庫化したものになります。
なので内容的に古くなってしまった感もありますが、物理の根本が変わるわけでもないので、基本を知りたい方にはお勧めできるかと思います。
但し、翻訳文章がちょっと古い感じもあって、若い人には分かりづらい文体になっているかも知れないですが。
本書のタイトルの「左と右」というのは、物理学上非常に難問で、極最近まで左と右を入れ替えても区別が付かないと言われていました。
しかしその対称性が実は我々の宇宙では破れていて、左と右を厳密に区別することが可能であると分かったのです。
CP対称性の破れの発見が、ノーベル物理学賞を受賞したのは記憶に新しいと思いますが、これもその一つです。
この対称性の破れのせいで、我々の宇宙には物質だけが存在し、反物質が存在しないのではないかというのが、現在の理論的な予測です。
将来的に、この予測が正しいと証明されるかどうか。
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