2022年12月29日木曜日

龍馬を守った新撰組 禁断の幕末維新史 / 加治将一

加治氏のこれまでの著書は、語りたいことが明確で、そこに至るまでの説明も理路整然としていたのですが、本書は今ひとつ狙いがボケてる感じがします。
新撰組は幕府側の組織ではあるけれども実は尊皇の団体である、というのが要旨みたいなのですが、それと龍馬を守るというタイトルがイマイチ読んでいて結び付いてこなくて。

新撰組という組織も、実は成り立ちが不明な部分も多いのですよね。
生き残りの隊員の証言だけが頼りなのですが、それがそもそも怪しい。
「組」だけど、トップは「局長」掟は「局中法度」で「局」を名乗り、一番隊から七番隊の各隊のリーダーは「組長」というのが、他に例を知らないのですが、当時は一般的だったのですかね?
大抵の人がこれを間違っていて、殆どの歴史小説/時代小説では「三番隊隊長 沖田総士」などと書かれてるくらいで、本来の「三番隊組長 沖田総士」という名乗りは、馴染めないですよね。

局長近藤勇、副長土方歳三、三番隊(一番隊の時もあったらしい)組長沖田総士は、天然理心流という突きを主知とする剣法を習得しているのですが、その流派がどこから来たのかも不明。
近藤勇が宗家を継いだという天然理心流の道場である試衛館も、どこにあったかも不明。
江戸時代末期の資料では、江戸にあった剣術道場の資料が結構残っているらしいのですが、そこには一切出てこないそうで。

そういう正体不明な団体についての解説だから、不明で謎なことばかり挙げられていて、いつもに比べると歯切れが悪い文章のように感じてしまいます。
まあ世間一般で信じられている新撰組は、小説で作家が好き勝手に出鱈目...もとい脚色したものなので、実際とはまるでかけ離れているものと思った方がいいです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿