2018年8月3日金曜日

信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変 / 安部 龍太郎



何となく安部 龍太郎氏は、定説に基づいたお堅い時代小説を書かれているのだろうという先入観があって、読んだことはなかったのですが、これは小説では歴史の謎解きコラム集ということで買ってみました。
結果、私の先入観は全く以て間違っておりました。
これは是非、氏の小説を読まねばならないと思います。

先日読んだばかりの嘘だらけの日独近現代史 (扶桑社新書)においても、中世期の欧州状況が、日本に色々と影響を与えているということが書かれていましたが、本書でも欧州の国盗り争いが日本に影響を与えている話が出ています。
もう既にこの時代に、日本は自国の事だけを考えていればいい、という状況ではなくなっていたんですよね。
しかし、現代の平和ボケした日本人は、今でも海に囲まれた日本は神風に守られており安全で、周りの国や地球の反対側の国の状況など関係ないと思い込んでる人だらけ。
そんなんだから、本書に書かれているようなことは、そんな昔にそんなことなるか、という考え方なんでしょうね。

2018年7月25日水曜日

音律と音階の科学 新装版 ドレミ…はどのように生まれたか / 小方 厚



現代音楽が平均律で調律を行い、それが弦振動の高調波とはずれているため、ギターの和音は綺麗に聞こえない、のは知っていましたが、数学的にキチンと計算し説明されているのを読んだのは初めてです。
著者は量子物理学がご専門の方のようですが、音律についてキチンと解説した専門書がないから自分のような音楽に素人が、こんな本を書かなきゃならない、とおしゃっておられますが、現代音楽理論家は数学が苦手でこういう本は書けないのかも。
しかしながら、現代の西洋音楽の12音階を作ったのはピタゴラスで、数学的に編み出しているんですよね。
そして中世期まで、作曲は数学者の仕事だったのです。

弦や管の太さにより、実際には整数倍からずれるのですが、その話は説明に大きな影響はないということで省略する、という説明だけなのが、ちょっと残念。

2018年7月21日土曜日

30の神社からよむ日本史 / 安藤 優一郎



神社の由来から日本史を説いていくのかと思ったら、有名な神社30社にまつわる歴史的なネタを集めたものでした。
まあこれはこれで、面白かったですが、それぞれのストーリーが完全に独立しているので、豆知識以上にならないのが残念です。

しかし、明治神宮や東郷神社、野木神社は、明治以降に創建された、新しい神社というのは知っていましたが、平安神宮や橿原神宮もそうだとは知らなかったな。
どうもそういう新しい神社というのは、有り難みが感じられなくて、お参りする気にはならないです。
逆に古い神社としては、出雲大社が挙げられていますが、元出雲の話が出て来てないのが残念ですね。
#元出雲の話は、QED以外で読んだことないですけどね。
最古の神社と言われている三輪神社がないのもなんかなぁという感じ。

嘘だらけの日独近現代史 / 倉山 満



嘘だらけシリーズもこれで終わりだそうです。
日本と独逸は、歴史的な接点が、第二次世界大戦の直前にヒトラーの第三帝国と同盟を結ぶまでは直接的にはありませんでした。
間接的には江戸時代後期辺りからあったらしいですけど、世界半周する玉突き効果での関係なので、因果関係はなかなか意識しにくいですよね。
まあいずれにしても、当時の内閣が何をどう考えたのか、本シリーズで讃えられている最高の外交官である菊ちゃんの意見を無視して、日独伊同盟を結んだのが間違いのものですよね。
英国との同盟を続ける道があったにも関わらず。
政治家が無知な世論と無責任なマスコミを気にするとどうなるかという見本です。

ところで、欧州の先進国では共産党の結党と活動は禁止されています。
日本でも共産党赤軍のテロが、60〜70年代に続いたので、共産党は検察の監視対象になっているのですが、思想の自由を理由に共産思想が禁止されているわけではありません。
このために大陸の共産党政府のスパイがやりたい放題の状態なんですよね。
人を殺しまくる、という思想が、思想の自由の名の下に保証されねばならない、というのが自由主義といえるのか?
今、朝日新聞などが内閣を相手にほざいているのは、こういう「責任を伴わない自由」です。
本来の「自由」には、責任が伴うということを全く判っていないか、無視しているのです。

2018年7月16日月曜日

ジュラシック・ワールド 炎の王国

ジュラシック・ワールド 炎の王国公式サイト

ジュラシック・パークが映画化された頃は、まだまだ未来技術の予想でしかなかったですが、今日ではそれ程遠い話ではなくなってきています。
滅びたものを無理矢理復活させることが、果たしていいことなのか…。
その問題が、今回のメインテーマになっています。
単なるアクション娯楽映画から、人類のこれからの未来を示唆する映画に変わっている気がします。

原作のジュラシック・パークでは、最後に恐竜が逃げ出し、その生存が確認されたところで終わりますが、本作も同じような終わり方です。
人類の世界に放たれた恐竜たちがどのように扱われるか…次回のテーマがそれですかね?

2018年7月10日火曜日

水戸黄門 天下の副編集長 / 月村 了衛



長寿テレビ番組で有名な水戸黄門漫遊記のパロディ小説です。
黄門様と介さん覚さんは、江戸後期に作られた漫遊記のキャラクタなので、パクっても問題はないでしょうけど、くノ一のお吟と風車の弥七はテレビシリーズの独自キャラクタだから、パクるのはやばくないか?

水戸黄門が藩主を引退後に国史編纂に力を入れていたのは、よく知られることですが、その編纂事業をネタに漫遊記をパロった小説です。
月村氏の小説は、シリアルなものが殆どで、こういうギャグ小説は初ではないかと思いますが…ふざけた筋を真面目な文体で綴っているのが、逆に面白さを引き立てて、あっという間に読み切ってしまいました。

2018年7月8日日曜日

決定版 邪馬台国の全解決 / 孫 栄健



著者の名前からすると中国系の方のようなのですが、日本在住で日本の出版社から何冊も著書を出されているようです。
歴史研究家のようですが、プログラミングの著書もあるようなので、コンピュータの知識もおありのようです。
そのせいか、本書で展開されている論は非常に論理的で緻密で、1つの物事を多角的な見方から検討して仮説の正否を検討されています。
在野のアマチュア歴史家のような思い込みと、不確かな証拠を元にすることもないし、推測に推測を重ねるような論法もありません。
中国の古代史を読み解くには、古代史各史を読み解き、その筆法と論法、文法を解き、文字の使い方をしっかりと理解する必要がある、という至極当たり前だけど、お偉い学者先生達が実際にはされていないことを、きちんと本書で説かれ、実践されています。
今まで読んだ邪馬台国の謎解きで、これ程納得がいく説明をされているものはなかったです。
歴史好きな人なら、内容の正否はともかく、一読しておかないと今後恥ずかしい思いをするのは間違いないと思います。

ただ1点だけ気になったのが、魏の皇帝から金印を下賜された周辺国の王は、倭国以外にも大勢いたはず、と推測されている点です。
魏志に書かれている中では、金印を下賜したのは倭国と月氏の国の二つだけ、というのを別の書で読んでいるのですが、本書ではそれには触れられておらず、たぶん他にも多くの王に金印を渡しているはず、という推測だけで書かれています。
他のことは、三国志全般に渡っての用例を細かく挙げて調べておられるのに、これだけは憶測と思い込みだけで書かれているのが、ちょっと納得がいかないですが。
まあ、これについては邪馬台国がどこにあったか?には影響しないことなのですが。

また深くは触れられていないのですが、邪馬台国の人びとは常に半裸で、顔に入れ墨があるというのですが、本書で推定されている邪馬台国の場所だと年中半裸でいるのは3世紀の気候でも無理じゃないのか?というのと、邪馬台国が後に大和政権になるのであれば、入れ墨の風習はどこでなくなったのか?が解決できていません。
まあ本書の目的は、古代中国史の筆法によって、所謂魏志倭人伝を読み解くことなので、この疑問に関しては、読み解いた後の問題なんですけどね。