2023年6月18日日曜日

天武天皇 / 寺西貞弘

天武天皇は、謎の多い方で、「逆説の日本史」でも指摘されていましたが、日本書紀に生年が記載されていなくて、年齢不詳状態なのです。
逆説の日本史では、天智天皇より年上の庶子だったためでは?という推測をされています。
本書では、皇子の生年から推測して、天智天皇より10歳前後年下だったのでは?という推測をされています。

本書は、天武天皇の生い立ちとか正体を暴くみたいなものではなく、天武天皇が推し進めようとした律令政治への転換について、資料を紐解き読み砕き解明されています。
大陸の律令制度を取り入れようとしたのは、天智天皇が皇太子だった時代からというのが定説だと私は思ってますが、本書では皇太弟だった天武天皇が天智天皇時代から推し進めてきた、という説を唱えられています。

本書を読むと、律令制度がどのように変換して来たか、当時の人達が法治というものを導入するのに辺り、どのような苦労があったのかがよくわかります。
それ以前は、豪族による人治で、各地方(国)をその地の豪族が治めていたわけですが、天武天皇はその領地の支配権を巧みに奪い、朝廷の役人による統治に変えていったとのこと。
言われてみれば確かにそこは重要なポイントなのですが、今までその視点から律令制度や国司派遣などを解説した歴史学者は皆無だったのではないかと思ってしまいました。


宇宙最強物質決定戦 / 高水 裕一

子供向けの科学読本とかなら、こういうノリもええかとは思いますが、新書でやられるとなぁ。
ホーキンス博士に教えを受けたことある方だそうですが、期待はずれでした。

 まあこの手の知識がない方には、入り込めやすくて、入門書としてはいいかも知れませんが。

 

日本にやって来たユダヤ人の古代史 / 田中 英道

日ユ同祖論というのが割と古くからあり、古代ユダヤ人が日本列島に流れ着いて、今の日本の基を築いたとする説です。
本書では、同祖ではなく、古代日本人に来日したユダヤ人が溶け込んで同化した、という説を取られています。
日本文化や日本語の中に、ユダヤ文化の痕跡が見られることは、今では広く知られていることですが、いつどこからそれがもたらされたのかは、まだ諸説紛糾状態だと思います。
本書の説が日本の歴史界に認められる日は、来ることがあるでしょうか。


2023年6月11日日曜日

なぜ私たちは存在するのか ウイルスがつなぐ生物の世界 / 宮沢 孝幸

ウィルスの専門家によるウィルスとは何かを解説されたものです。

ウィルスは自己増殖能力がなく、生物の細胞に取り憑いて増殖機構を借りて増えるので、生命が誕生してからでないと存在できません。
しかし構造が単純なウィルスの方が先に生まれて、それが進化して自己増殖機能を獲得したと考える方が、化学的にはあり得やすいのも事実です。(実際にそういう学説もあります)

本書を読んで初めて知ったのですが、動物の細胞同士で情報(RNAの欠片など)をやり取りする物質があって、実はそれがレトロウィルスと非常によく似ているのだそうです。
その機能と構造を見ても、一部がなんかの間違い(元になったDNAの異常とか)で、ウィルスに変わってもおかしくはないと思わされてしまいます。

ウィルスによるDNA書き換えが、進化の原因の一つであるというのは、最近では定説になりつつありますが、こういうことを見ていると、進化するためにウィルスを生物が自ら生み出したのではないか?と思ってしまいます。


ウイルス学者の絶望 / 宮沢 孝幸

コロナ騒動において、宮沢先生のような真っ当なウィルス学者は専門家会議から追い出され、ウィルスもワクチンも専門ではない政府に都合のいい発言をする医学者のみで構成され、その結論を国民を啓蒙し押し付けて、目的を忘れて厚労省の利権拡大に走ったのですが、当然政府の広報機関でしかないマスコミは、そのことを一切報道しません。

宮沢先生は、あちらこちらからの中傷誹謗に晒されながらも、学者としての良心に従って真実を伝えようとなされて来ました。
が、本書のタイトル通り、あまりにも世間が無知蒙昧過ぎて、啓蒙の心が折れてしまったようです。
コロナ騒動とはなんだったのか、を知りたい方は、ぜひ本書を含む先生の著書をご覧ください。

 

古代史のテクノロジー 日本の基礎はこうしてつくられた / 長野 正孝

古代の遺物には、現代のテクノロジーでも造るのが困難なものが多々あります。
そういうのを「宇宙人が作った」という人もいますが、現代人に作れないから古代人に作れたはずがない、というのは自分の愚かさを知らない現代人の思い込みです。

本書はそんな古代のテクノロジーを解説したもので、現代人が如何にモノを知らないかを明らかにしたものでもあります。
でも多分古代史の専門家には、こういうのは無視されるんでしょうけどね。


記憶の奴隷 / 渡辺 裕之

傭兵代理店などで、脇役として活躍している、素顔を知るものがいないスーパー・スパイ影山夏樹が主人公として登場です。
これ、特にシリーズ名が付いてないけど、今後も影山が主人公のものが発刊されることがあるのかな?

渡辺氏の小説に登場する人物は、どれもあまりにも超絶すぎて、リアリティに欠けるのですが、舞台となっている社会の背景とかは、かなり事実に近い感じで、その点ではリアリティがあって、両者のリアリティ感のアンバランスさが面白いんですよね。