2020年8月19日水曜日

マルドゥック・アノニマス 5 / 冲方 丁



テレワークになって書店に寄らなくなったため、5月に発刊されているのを見逃していました。
4巻から1年と2ヶ月の間を空けて、5巻が発刊。
マルドゥック・シリーズは、これまで3巻で完結が定番でしたが、本シリーズでは6巻目まで行くことになりました。
話の展開からすると7巻目以降までは行かないと思いますが。
1巻目が2016/3/31発刊なので、6巻目が1年後に出るとして丸5年間読者は付き合わされるのですが、1年以上間が空くと、前回までの話がどんなんだったっけ?と再度1巻目から読み直さないと話が分からない状態になってしまいます。
マルドゥック・シリーズは好きだし面白いんだけど、2003年の年末から付き合わされている身としては、いい加減待たされ疲れしてきた。

2020年8月17日月曜日

襲来 (上・下) / 帚木 蓬生





氏は元々お医者さんで、医療現場を舞台にした小説で作家デビューをされた方ですが、最近では歴史小説も手掛けられておられます。
日蓮上人と蒙古襲来を題材にしていますが、日蓮上人が主人公ではなく、上人に仕える名もなき男が主人公になっており、その視点から日蓮上人の人柄と蒙古襲来の様子を見事に描いておられます。
上下2巻の長編ですが、スピーディーに読んでしまいました。
それだけ物語に入り込んでしまったわけです。

蒙古の船団が、対馬〜壱岐〜志賀島や唐津辺りに上陸する様が描かれていますが、海流の関係で朝鮮半島から日本へ来る、或いはその逆は、航海できる季節が限られており、風の具合を上手く読まないと辿り着くことができないことが説明されています。
神風が吹いて日本が勝てたというのは、あながち間違いでもないけど、それが正解でもないのですよね。
またこの海流と風の関係をちゃんと把握できていないと、古代においての半島と列島の関係も読み間違います。
邪馬台国論争などにおいても、この半島から北九州への航海についての知識がないままで、論じている人が多いのですが、強力なエンジンを搭載した鋼鉄船しか乗ったことがない人には、玄界灘の海流がどれほど恐ろしいものなのか、想像ができないんでしょうね。

2020年8月16日日曜日

神の時空 前紀 女神の功罪 / 高田崇史



神の時空 京の天命 (講談社文庫)と同じような始まり方をしていたので、書店店頭で「あれ?これ読んでたか?」と思って、一旦は買うのを止めてしまったのですが、発売日とかから考えてもやっぱり読んでないよなということで買って読みましたが、神の時空シリーズの話が始まる前の物語で、冒頭部分は同じ事柄が書かれていました。
「前記」というのは、要するにそういうことですね。
この「前記」はシリーズにはならずに、本書だけのようです。
神の時空シリーズを読んで、面白いと感じた方は、本書も読んでおくべきでしょう。

女性天皇、女系天皇について、世間で色々と言われていますが、本書はそれについて一考を強いる内容になっています。

2020年8月15日土曜日

5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ / 岡嶋裕史



携帯回線がこれまでのLTE/4Gから5Gと呼ばれる接続形態に移行しようとしています。
特許を握っている中華企業を、米国を中心に携帯回線機器調達対象外にしつつあり、日本でも安全保障の問題から米国に従い、他のメーカーから機器を調達する予定です。
中共政府参加の企業の製品を安さ(だけじゃなくて性能もいいらしいのですが)を理由に大量導入する予定だったキャリアなどは、かなり大慌てですね。
しかしじゃあ5Gって何よ?となると、中身はさっぱりで、一応携帯電話関係の仕事に関わったことがある(現在は全然別の仕事ですが)ので、知らんままでもいけないなと思って、勉強のため買ってみました。

が、あまり参考にはならなかったです。
一つは携帯回線の仕組みを全く知らない一般の人を対象としていたので、基礎の基礎から懇切丁寧に説明されており、5G以前の3G/LTE/4Gの仕組みの説明にページが多く割かれています。
5Gの説明には、それ以前の3G/4Gの仕組みが分かっていないと駄目なので、一般向けとしてはまあ正解なのですが、その分肝心の5Gの説明に割かれるページが少なくなって、説明も中途半端になるという感じです。

もう一つは、まだ本格的なサービスが立ち上がる時期なので、実際に運用される5Gがどういうものか不明で、どういうアプリケーションに使われるかも不明、なので筆者も説明がまだできないことが多いというのがありますね。
武漢ウィルスによる人との接触が制限されて、リモートで色々とやろうという動きがありますが、まだ信号処理に時間が掛かっているため遅延があって、リアルタイムに同期しなければいけないような用途(ミュージシャンのオンライン経由でのセッションなどが試みられていますが、皆さん遅延により音を同期させられずに苦労されています)の場合に、5Gだと人間の知覚未満の遅延(1msec)で済むようになるそうです。
速度も遅延も、有線通信よりも無線通信の方が優れているような状況になってきますね。
こうなると有線通信の10G Ehternetが、早くもって低価格で入手しやすいものになって欲しいです。

2020年8月11日火曜日

ソニー ウォークマン 16GB Aシリーズ NW-A105






ハイレゾ変換機能が付いたSONY WALKMAN NW-A16を5年以上も使い続けていて、そろそろハイレゾ変換がAIを使ってより高性能になった新機種に買い替えようかなぁと考えていたところ、キャッシュバックキャンペーンが始まりました。
と、同時にA16が壊れてしまい(どれかのスイッチが押しっぱなし状態になってしまったらしく、他のキーが全然利かない上に、充電しようにもディスプレイ画面が着きっぱなしになって充電されない)、買い替えることになりました。
NW-A16シリーズ登場以降6年くらい経つのに、未だに圧縮音源やCDグレード音源をハイレゾ相当にアップサンプリングするDAPは、Walkmanしかないみたいですね。
当初はNW-A55にしようかと思っていたのですが、キャッシュバックキャンペーン対象がA105シリーズ以上で、A55シリーズは対象外。キャッシュバックを考えたら、値段差はそう大きくはならないので、思い切ってA105にしました。

5年の歳月とグレードが一段上ということもあって、まあ音が全然違います。
A16では128kbpsと256kbpsの音質差は気にならなかったのですが、A105だと128kbps音源を再生すると「あれ??」ってな感じになって、画面表示を見たら「AAC 128kbps」で、「あ〜これはやっぱりリッピングし直さないとあかんね」となりました。
で、256kbpsにリッピングし直している時に気が付いたのですが、今ではAAC Losslessというのがあるですよね。CD音質そのままでファイルサイズが2/3程度になります。
AAC 256kbpsに比べるとファイルサイズがかなりでかくなるのですが、音を比べるとやっぱり違う。ここまで細かい音が入っていたのかと改めて思います。今まで何を聴いていたんだ?と。
で、手元のCDをせっせとLosslessフォーマットにリッピングし直して行くのですが、当然今までのAAC 256kbps向けのmicorSDでは容量が足りず、512GBという大容量のカードも買う羽目に。

まあでも、その甲斐あって、大変いい音で聴けております。
まだ512GBの半分ちょっとしか使ってませんが、保存した楽曲を一巡することがまだできていないくらい、大量の曲が保存できています。

因みにAndroid OSを使用しているため、バッテリーの消費が激しいと世間では不満のようです。
・音楽関係以外のアプリを停止/アンインストールする。
・Googleアカウントにはログインしない。
・普段はWiFi/Bluetoothは停止しておく。
とすることで、8時間程度聴いても電池が半分程度の消費で済んでおります。
これくらい保てば、取り敢えずは宜しいかと。
まあ1週間に1回程度の充電で済んだA16に比べると、大食いなのは確かですが。

三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)/ 劉 慈欣





中華人民共和国のSF作家による話題の書。その続編です。
ん〜、何というか、話題になるのは理解できる反面、ストーリーにしてもプロットにしても、何か練れてないよなぁという感じがあるんですよね。
文章がぎこちないのは、翻訳文だと英語圏作品でもあるので、作者のせいというよりは、翻訳という言葉の壁の限界のせいだとは思いますが。
アイデアはいいけど、それを小説にするときの組み立て方が、まだまだな気がします。
世間の評論を見ていると、そういうことを書いている人は全然いないけど。

宇宙の広さを説明する箇所があるのですが、世間一般の人が感覚として理解できていない太陽系の広さを、作者は何とか説明しようとしていますね。
たぶん、これでも感覚的に分からない人が殆どでしょうけど。
宇宙がどれくらい広いか。
以前流行った妄言に「太陽系の惑星が直列に並ぶと、それら惑星の引力が合わさって多大な引力が地球に襲いかかり、天変地異が起こる」というのがあるのですが、これなんかが宇宙の広さを丸っきり分かってない典型ですね。
各惑星の質量と太陽からの距離は、公開されたデータがあるんだから、それを元にちょっと計算すれば、どのくらいの引力が地球に掛かるかは直ぐに分かるんですけどね。
それくらいの計算をやってから言ってくれないかい?って感じです。

ま、それはさておき、最後のどでん返しは…まあいいんだけどね。
ちょっとなんかなぁ、と個人的には思いました。
ここまで引っ張っておいて、それかい!って感じです。

2020年8月4日火曜日

逆説の日本史 25: 明治風雲編 日英同盟と黄禍論の謎 / 井沢 元彦



この辺りの時代については、倉山氏の各著書の方が面白く書かれていると思いますが、懇切丁寧に説明されているのは井沢氏の方ですね。
明治時代に、西洋から入ってきた演劇や歌謡が、日本独自の文化と合わさり、日本独特の演芸や演歌などに発展していく過程を、緻密に説明されています。
先人の知恵と苦労は如何ほどのものだったろうか。

似たようなこととして、戦後米国からブルース、ロックが(クラシックやジャズは、恐らく戦前から)日本に入ってきて、手探りでそれらを習得しようとした人達もおられたわけです。
そして、60年代後半の日本のブルース、ロックなどは、かなり高度なレベルに達しており、世界的なミュージシャンも輩出することになるのです。
それが可能だったのも、恐らくは平安時代から続く日本の伝統演芸の素地があったからではないかと思うのです。
(実際、世界的なエレキギターの大家である寺内タケル氏は、親が三味線の師匠で、もの心が付く頃から三味線を弾いていたそうで)
(ついでに書いておくと、氏は小学生の頃にギターの音を電話のピックアップを流用して、電気増幅させるエレキギターを発明していたそうで、「エレキギターは俺が発明したんだ」とおっしゃっておられました)
そしてなにより、一般民衆がそういう演芸を観て楽しむという文化も平安時代からあって、これは日本以外にはないことなのです。
(西洋では演劇やら歌劇などは貴族のもので、一般大衆は一切縁がなかった)
こういう歴史を知ると、日本に生まれて日本人と育ったことは、幸運だったなと思ってしまいます。