2006年2月3日金曜日

黄金の華




文藝春秋文庫刊 火坂 雅志 著
豊臣政権末期に徳川家康に徴用されて、金座銀座の支配に付いていた後藤庄三郎の半生を描いた物語です。
金地院崇伝の時もそうですが、時代の陰に埋もれて忘れられているが、その時代に欠くことのできなかった人物を、掘り起こす氏の探求心には感服させられてしまいます。
本書の主人公後藤庄三郎にしても、この時代にこのような人物がいたのかと感心することしきり。
今の時代、金に目の眩んだというか金にしか興味のない人が増えている中に、この書が一石を投じる存在ではないかと思います。

2006年1月29日日曜日

【BMW雑記帳】Detroit is the Motor City

KISSに"Detroit Rock City"という曲がありますが、Big3の工場が建ち並ぶデトロイトは"Motor City"という方が相応しいでしょうね。
今月の雑誌は、デトロイト・ショー速報でどこも賑わっています。他にもL.A.ショーとか東京のオートメッセとかあるんですが、やはり世界有数のモーター・ショーですからね。
とはいえ、ちょっと以前までなら地元のBig3の独壇場だった感のあるデトロイト・ショーですが、リストラ続きのGM、Fordはパッとせず、ダイムラー傘下となったクライスラーもゲストの俳優さん達が目立っていた程度で、車の方は日産とトヨタなどの日本勢が話題を独占という感じです。
ドイツ勢では、このショー一番の話題であるアストン・マーチンの4ドアクーペRAPIDE(南海電鉄の特急と同じ名前)とランボのミウラコンセプトやフェラーリ599など派手な発表が目白押しのようです。


BMWは噂のZ4 M Roadsterが、E46 M3の直6 3.2Lを搭載しての正式発表となりました。
他には特に目新しい発表はなかったようです。
今月の雑誌では、ENGINEがBMWの大特集をしています。日本の各メーカーからベンチマークテストとして使われるのは、BMWになっています。一昔前ならベンツだったり小型車はVWだったりしたんですけどね。その話題を中心にしているようです。
他はアストンマーチンとポルシェ、フェラーリに話題を持って行かれてますね。
Z4 Coupeの発表に影響を受けてなのか、昨年の東京モーターショー以来、日産とマツダが2LクラスのFRスポーティクーペのコンセプトカーを立て続けに出してきています。
FFでハンドリングのいい車を造れるようになってきていて、Ford Focusのように「FRかFFか乗ってすぐには判らない」ようなものも出てきています。
それでも世界のメーカーがFR回帰へと向かっているようなのですが、やはり理屈を超えてFRのハンドリングを超えることは無理だということなのでしょうか。
そんな中でアルファは、コンセプトカーではFRだったBRERAをFFで発売しました。またマセラティはアルファと合併により、このFF BRERAをベースにした小型クーペを発売するようです。マセラティはここ30年ほどずっとFRだけを造り続けて来たわけですが、メーカーとして体制を維持するために低価格帯(といっても500-800万円クラスでしょうけど)に進出する必要に迫られて来ており、その拘りを捨てる日が近そうです。
#もっとも世界最速のFFはシトロエンSMという、マセラティのエンジンを搭載した車なのですけどね。
しかしハイブリッドや電気モーターの時代が来て、駆動は全てインホイール・モーターになってしまえば、FFだとかFRだとかは関係なくなってしまうでしょうけど。
いややっぱり、コストダウンのためにモーター入りは前輪だけとか後輪だけとかが出てくるのかなぁ。トヨタなら間違いなくそうするだろうし。

2006年1月27日金曜日

<亡霊国家ソビエト>を倒せ

ハヤカワ文庫NV刊 ブラッド・ソー著 田中 昌太郎 訳
いかにもアメリカらしいヒーロー物です。主人公は元プロ・スキーヤーで、海軍に入隊してSEALの精鋭として活躍し、シークレットサービスに抜擢されるという、アメリカン・ヒーローです。
通常でもアメリカでトップクラスのヒーローとしてのキャリアを持つ主人公が、崩壊したと思われているソビエトの残党の魔の手から、合衆国と世界と救う物語です。
ソー氏の著作は本作以前に2作ほどあるようで、それの続きみたいです。
でもストーリーのご都合主義が、「正義は勝つ、俺たちこそ正義だ」というように感じられて鼻についてしまって、前作を読む気はしないですが...こういうのが好きな方は楽しめると思います。
たぶん007シリーズみたいな娯楽映画なら、こういう物語も単純に楽しめるんでしょうけどね。



2006年1月23日月曜日

地を穿つ魔

創元推理文庫刊 ブライアン・ラムレイ著 夏来 健次 訳
ラヴクラフトのクトゥルー神話をベースにした物語で、邪神ハンター「タイタス・クロウ・サーガ」第一弾です。
このシリーズは最初の発表が30年前だとか。何故か今になって翻訳され、文庫新刊で出てきました。解説には何故日本国内での発表に30年も掛かったのかが書かれてないので、理由は不明ですが、こういうクトゥルー神話系の物語を日本の読者が受け入れられるようになるまでに30年掛かったということでしょうか。
しかし、30年前の作品ということで、話の流れとか背景とかに古くささが感じられてしまいます。そこがちょっと残念。



【BMW雑記帳】Club-ti新年会

昨年の寿司オフに引き続き、今年はスッポンでClub-ti関西班の新年会を行いました。
とはいえ参加は私を含めて3名だけなんですが。
Club-tiの場合、車で集まる時は皆さん遠くからでも積極的に参加されるのですが、飲み会となると途端に参加者がいなくなります。
まあ確かに予算が6千円とか1万円とかになると大変なのは確かですが、高速代とガソリン代で1万円でも皆さん参加されるんですがねぇ。

それはさておきスッポンです。
スッポンというと高級料理というイメージがあるのですが、養殖物が出ていますので、天然トラフグに比べるとお安く楽しめます。養殖ふぐよりは高いですが。
大阪日本橋(大阪は「にっぽんばし」、東京のは「にほんばし」)の黒門市場という東京でいうとアメ横みたいな感じの生鮮品市場があります。年末に行くと通りのほとんどの店の店頭に、下関特産天然トラフグが所狭しと並べられていて、それはもう壮観な眺めです。
そこの中には寿司屋さんとか鍋物屋さんもあって、この通りの店なら新鮮なネタでおいしいもの食べさせてくれるんだろうなぁ、と思って興味があったのですが、今回やっと行くことができました。


すっぽんを格安で食べさせてくれる店があったので、そこですっぽんのコースをお願いしました。
付け出し(なまこ、たこ、あん胆)とすっぽんの生き血をリンゴジュースで割ったものから始まり、胆と湯引きに心臓と甲羅裏側の肉の刺身が来て、大きな鍋にたっぷりの肉身、最後は雑炊にデザートのイチゴと盛りだくさんで、連れの大食らいの2名でもお腹一杯というくらいの量でした。

すっぽんはかなり脂が多いのですが、その脂はコレステロールとは無縁で太ることもなく、高血圧になることもなく、非常に健康にいいのです。
味の方も脂の味はしますが、口の中に残ることはなくさっと消えてくれて、あっさりとした後味です。
甲羅はコラーゲンの固まりで、これも非常においしく健康によいです。
是非皆さんも一度お試しを。

2006年1月19日木曜日

石田三成

学研M文庫刊 江宮 隆之 著
石田三成は大儀に生きた人である。というのが著者の結論でしょう。
石田三成はその才を秀吉に見出され、信長や光秀も近臣に欲しがったという異才であるにも関わらず、生涯を豊臣家のために尽くした忠義の人です。
三成の俸禄は知行として貰っている分と、豊臣家の直轄地を代官として治めている分とが、諸説で違っていてはっきりしないのですが、本作では関ヶ原の合戦の頃には40万石であったとしています。これだけの大録にも関わらず、その生活は非常に質素であっとされています。
父親に教わったという「小さな誇りはちょっとしたことでズタズタにされるが、大きな誇りは決して身じろぎしないものだ。大儀に裏打ちされたものこそ、大きな誇りである。」という言葉が、物語で何回も繰り返されます。
今の日本に必要なのは、何よりもこの言葉ではないでしょうか。



2006年1月17日火曜日

クリスタルサイレンス 上・下

ハヤカワ文庫JA刊 藤崎 慎吾 著
1962年生まれで作家としてのデビューが本作発表の1998年なので、36歳にしての作家デビューということになります。
氏は10代の頃からに、宇宙塵に投稿をしていたそうですが、その投稿も頻繁ではなく忘れた頃にという感じで、デビュー作以前の作は4〜5作程度と少ないです。
にもかかわらず、これだけの完成度の長編を生み出してしまう氏のパワーは凄いと思います。
冒頭の火星の高等生物の殻の群体やナノマシンを生み出した超古代生命体の謎が謎のまま終わってしまっているという不満はありますが、本作のメインテーマはそちらではないので、ストーリーそのものは未完ではありません。
この後の作品はまだ新書のものばかりなので、文庫が出るまで、氏の独特の世界に浸るのはお預けです。